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防災セットの選び方:何を備えるか、自治体の情報で確認する

公開 2026-11-01 / 更新 2026-11-01 / ゲンバコエ編集部

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防災セットの選び方:何を備えるか、自治体の情報で確認する

結論:防災セットは「買う前に、自宅の災害リスクと自治体の備蓄目安を見る」のが先です。そのうえで、足りない分を完成品セットか普段の食品の買い足しで埋めるのが、失敗の少ない順番です。

防災セットは何を基準に選べばいいのか

防災セットを探す人は、「どのセットが良いか」から入りがちです。ただ、先に決めるべきなのは、どんな災害でどこで過ごすかの想定です。

首相官邸の「災害への備え」では、豪雨、津波、火山噴火など災害の種類によって安全な避難場所は異なるため、家族で災害ごとの行動を話し合っておくとされています(本文に更新日の記載なし。2026年11月1日に確認)。つまり、同じセットでも、自宅にとどまる想定の家庭と、避難所へ移る想定の家庭では、必要なものの重さと量が変わります。

この記事では、選ぶ基準を次の4つにそろえます。

  1. 想定に合うか:在宅避難か、避難所へ持ち出すか
  2. 数量が足りるか:人数×日数で数えたとき、水・食料・トイレが足りるか
  3. 続けやすいか:期限の管理や買い替えが、手間なく回せるか
  4. 個別の事情に合うか:乳幼児、食物アレルギー、常備薬など

設備の現場でも似た話があります。機器の型番を選ぶ前に、設置場所と使い方の条件を固めておかないと、後から「容量が合わない」となります。防災も同じで、仕様より前提条件が先です。

自治体の情報で確認する:まず見る3つの資料

セットの中身を決める前に、次の3つを確認します。どれも無料で見られます。

1. ハザードマップ

首相官邸のページは、自治体のホームページや国土交通省のハザードマップポータルサイトから防災マップやハザードマップを入手し、避難場所と避難経路を事前に確認するよう案内しています。国土地理院の「わがまちハザードマップ」では、洪水、内水、ため池、高潮、津波、土砂災害、火山の各ハザードマップを選べます。掲載されているハザードマップ等の著作権は各作成機関(市町村等)に帰属します。

内閣府の防災チェックリストにも、自宅の災害リスクを、水害ハザードマップ、津波浸水想定区域図、火山防災マップ、土砂災害警戒区域図などで確認する項目があります(本文に公開日・更新日の記載なし。フッターはCopyright 2017)。古い資料なので、自治体の最新の地図で見直すのが前提です。

2. 避難場所・避難所の位置

国土地理院の「指定緊急避難場所・指定避難所データ」で、近くの避難場所や避難所を調べられます(首相官邸のページによる)。ここで、自宅から歩ける範囲に避難所があるのか、その経路は災害のたびに安全かを見ておくと、「持ち出す前提のセット」か「家にためておく前提の備蓄」かの判断材料になります。

3. 自治体が出している備蓄の目安

自治体によっては、備蓄の目安や、家族構成から品目を出してくれるツールを公開しています。次の章で、公開されている2つの例を見ます。

東京都・横浜市の目安を比較する:水・食料・トイレの数え方

公開資料で確認できた範囲を、表にまとめます。比較の基準は「何日分を目安にしているか」「水の数え方」「トイレの数え方」「使い方(どう管理するか)」です。

比較の基準首相官邸東京都(東京備蓄ナビ)横浜市
日数の目安飲料水・非常食は3日分。大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいまず最低3日分。1週間以上の備えも視野に入れて計画する最低3日分
飲料水1人1日3リットルで計算家族構成などから品目と数量の目安をリスト表示1人1日3リットル、3日分で9リットルが基準。できれば1週間分が望ましい
トイレ携帯トイレや簡易トイレ、トイレットペーパー、ティッシュも備蓄品に含める数量はツールのリストで確認トイレパック(凝固剤と処理袋のセット)は1人1日5回×3日分で15個。3人家族なら45個
管理の考え方特別な防災用品ではなく、普段使っている食品を買い足す方法を示している普段使うものを少し多めに持つ「日常備蓄」を推奨調理せずに食べられるものや缶切り不要の缶詰を備える
確認時点本文に更新日の記載なし(2026年11月1日に確認)本文に更新日の記載なし(2026年11月1日に確認)最終更新日 2024年11月1日

数字の読み方は簡単です。水は「3リットル×人数×日数」です。たとえば4人家族なら、3日分で3×3×4=36リットル、1週間分なら3×7×4=84リットルになります。これは各資料の「1人1日3リットル」を使った単純計算で、飲み水の量です。

ここで見落としやすいのが、飲み水とは別の水です。首相官邸のページは、トイレを流すなどの生活用水も必要だとし、ポリタンクに水道水を入れておく、風呂の水を張っておく方法を例に挙げています。完成品の防災セットに付いているのは、多くの場合、飲み水の一部です。生活用水までは足りない前提で考えておくと安全です(中身は商品ごとに違うため、購入前に品目表で確認してください)。

トイレの数量も、数えてみると意外に多くなります。横浜市の目安では、3人家族の3日分でトイレパックが45個です。セットに入っている個数が、この数字に届くかどうか、品目表で見比べる価値があります。

東京備蓄ナビと自治体ツールの使い方

東京都は2021年3月5日に「東京備蓄ナビ」の開設を発表しました。目的は、家庭での「日常備蓄」を呼びかけることとされています。

東京都防災ホームページによると、東京備蓄ナビは、家族構成(性別・年代)や住まいの種類などに答えると、備蓄品目と数量の目安をリスト表示します。リストはLINEなどで共有でき、連携するショッピングサイトで直接購入もできます。各区市町村のハザードマップや、防災・備蓄に関するリンク集も確認できます(本文に更新日の記載なし。Copyright 2024)。

また、広報東京都2026年9月号(2026年9月1日更新)の記事では、東京備蓄ナビで家族構成などを入力すると必要な1週間分の備蓄品リストを作成できるとされています。ローリングストックの目安は「家族3日分」と記載されています。

東京備蓄ナビのサイトは、自宅が安全であれば当面は自宅にとどまる在宅避難を想定しています。理由として、電気・ガス・水道・下水が長期間使えなくなるおそれや、道路が閉ざされ物資の配布が数日間止まるおそれが挙げられています。ここは、完成品セットを選ぶ際の前提にもなります。「持ち出し専用の軽いセット」だけでは、在宅避難の数日間をまかなえない可能性がある、ということです。

東京都防災アプリ(2026年4月23日更新)には、品目ごとに消費期限付きで食品や室内の備えを管理し、期限が近づくとアラームで知らせるチェックリスト機能があります。防災マップでは、水害リスクや地域危険度、防災施設、災害時帰宅支援ステーションの位置を確認できます。東京備蓄ナビや避難シミュレーションも同アプリの機能です。

なお、これらは東京都の仕組みです。お住まいが他の地域なら、同様のツールがあるかどうかは、市区町村や都道府県のサイトで確認してください。自分の地域に同じものがあるかは、この記事では分かりません。

防災セットの種類を比べる:完成品・自作・日常備蓄

「防災セット」と呼ばれるものは、大きく3つの考え方に分けられます。価格や中身は商品や家庭によって幅があるため、金額や数量の優劣は書きません。比較の基準は、先ほどの4つに沿います。

比較の基準完成品セット(市販)自作(必要なものを個別に集める)日常備蓄(普段の食品を多めに買う)
想定への合致持ち出し向けか在宅向けかは商品による。品目表で確認自分で想定に合わせられる在宅避難との相性が良い(東京備蓄ナビの考え方)
数量の過不足人数・日数が合うかは商品ごとに要確認数えながら集めるので把握しやすい食品は増やしやすい。トイレや生活用水は別に要確認
続けやすさ一括で用意できる。期限管理は商品ごとに確認手間は増えるが、期限を自分で把握できる食べて買い足すので回りやすい(内閣府のローリング・ストック方式)
個別事情への対応食物アレルギーなどは中身を確認する必要がある合わせやすい合わせやすい
注意点中身が想定とずれていても気づきにくい抜けや漏れが出やすい。チェックリストが要る乾電池、携帯トイレなど、普段使わないものは別枠で必要

内閣府のページは、ローリング・ストック方式を、保存期間の長い普段の食料を多めに買い、期限の近いものから消費して使った分を買い足す方法と説明しています。首相官邸のページも、備蓄は特別な防災用品ではなく、普段使っている食品を買い足して備える方法を示しています。

ただし、どれか1つが全員に正解という話ではありません。「完成品で土台を作り、足りない分を日常備蓄で足す」といった組み合わせは、現実的な選択肢です。

目的別・タイプ別の選び方

順位ではなく、状況ごとの「考え方の入口」として整理します。

初めて備える人(未経験)

すでに備えている人(経験者)

家族構成別

住まい別

資格や専門性による分け方について

防災セットの選び方に、資格の有無で変わる基準はありません。家庭の備えは、資格より人数・住まい・地域のリスクで決まります。

完成品セットのデメリットと、向かない人

売る側の話だけでは偏るので、弱点も書きます。

向かない人の目安は次のとおりです。

買う前の確認チェックリスト

商品ページや品目表で、次を確認してください。商品ごとの違いが大きく、この記事では個別商品の評価はしません。

なお、停電への備えとして電源を足したい場合の製品選びや、蓄電池・EVの活用は、この記事では扱いません。確認済みの情報が十分でないためです。

よくある質問

Q1. 防災セットは何日分あれば足りますか?

公的資料では、まず最低3日分が目安です(首相官邸、東京備蓄ナビ、横浜市)。首相官邸のページは、大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいとしています。何日分が「足りる」かは、住まいの地域のリスクや家族構成で変わるため、自治体の資料で確認してください。

Q2. 飲料水は1人どれくらい必要ですか?

1人1日3リットルが目安です。3日分なら1人9リットルです(首相官邸、内閣府、横浜市)。トイレを流すなどの生活用水は別に必要で、ポリタンクに水道水を入れておく、風呂の水を張っておく方法が例に挙げられています。

Q3. くみ置きした水は、どれくらい持ちますか?

横浜市水道局のページ(2026年1月9日更新)では、保存目安は冬場約1週間、夏場約3日とされています。季節によって差があるので、入れ替えのタイミングを決めておくと管理しやすくなります。

Q4. 完成品セットを買えば、もう他に用意しなくていいですか?

そうとは限りません。水・食料・トイレの数量が人数と日数に合っているか、常備薬や乳幼児用品など個別の事情をカバーしているかを確認する必要があります。足りない分は日常備蓄で補うのが一つの方法です。

Q5. ローリングストックとは何ですか?

内閣府のページは、保存期間の長い普段の食料を多めに買い、期限の近いものから消費して、使った分を買い足す方法と説明しています。東京都の東京備蓄ナビも、普段使うものを少し多めに持つ「日常備蓄」を勧めています。

Q6. 非常持ち出し品には何を入れますか?

首相官邸のページは、リュックサックにあらかじめまとめ、すぐ持ち出せる状態にしておくとしています。内閣府のチェックリストが挙げる品目は、飲料水、非常食、軍手、常備薬、懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、洗面用具です。乳幼児のいる家庭には哺乳瓶や紙おむつも挙げられています。首相官邸のページには、確認に使える公式チェックリスト(PDF)も案内されています。

次にやること:今日から1週間でできる手順

  1. ハザードマップを開く:国土地理院の「わがまちハザードマップ」や、市区町村のサイトで、自宅の洪水・土砂災害・津波などのリスクを見る
  2. 避難所と経路を確認する:国土地理院の「指定緊急避難場所・指定避難所データ」で、近くの避難場所や避難所を調べる
  3. 人数×日数で数える:水(1人1日3リットル)、食料、トイレを3日分で数える。東京都なら東京備蓄ナビ、横浜市なら備蓄のページの目安を使う
  4. 家にあるものを引く:普段の食品、カセットコンロ、トイレットペーパーなど、すでにあるものを差し引く
  5. 足りない分だけ補う:完成品セットを検討する場合は、品目表を3の数字と見比べ、不足を埋める形で選ぶ
  6. 期限を記録する:東京都防災アプリのチェックリスト機能や、自分のカレンダーで、期限が近い品目を分かるようにする。11月19日の「備蓄の日」を、年1回の見直し日にするのも一つの方法です
  7. 家族で話し合う:災害の種類ごとに、どこへどう動くかを決めておく(首相官邸のページの案内)

制度や目安は更新されることがあります。購入や備蓄の量を決める前に、お住まいの自治体の最新のページで、日付と内容を確認してください。

参考にした資料