フルハーネスの義務と特別教育|6.75mと5mの境目、6時間の内訳
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作業床や手すりを設けにくい高さ2m以上の箇所では、事業者は墜落制止用器具を使わせる等の措置をとる(安衛則518条、519条)。器具はフルハーネス型が原則で、6.75mを超える箇所では胴ベルト型を選べない。 その箇所でフルハーネス型を使う作業は特別教育の対象(安衛則36条41号)。時間は学科4.5時間と実技1.5時間で、合計6時間。 胴ベルト型(一本つり)を使えるのは、フルハーネス型だと着用者が地面に届くおそれがある場合。ガイドラインは建設作業等での目安を高さ5m以下としている。
高さで見る器具と特別教育
| 作業箇所の高さ | 器具の選び方 | 特別教育 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 6.75m超 | フルハーネス型 | 要る | ガイドライン第4 |
| 5m超6.75m以下 | 建設作業はフルハーネス型 | 要る | ガイドライン第4 |
| 2m以上5m以下 | 地面に届くおそれがあれば胴ベルト型(一本つり)可 | フルハーネス型なら要る | 安衛則36条41号 |
表の前提は、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な箇所。厚生労働省のリーフレットは、柱上作業等では2m以上でフルハーネス型を推奨している。U字つり胴ベルトは墜落制止用器具に含まれず、使うときはフルハーネス型との併用が要る。
36条41号の対象は「フルハーネス型を用いて行う作業」で、胴ベルト型だけの作業は文言に当たらない。ロープ高所作業は36条40号の別の教育。
6.75mと落下距離の式
自由落下距離 = 環の高さ − フックの取付高さ + ランヤードの長さ 落下距離 = 自由落下距離 + ランヤードとハーネスの伸び等
環は、ランヤードとハーネスをつなぐ部分の高さ。6.75mは、ショックアブソーバの自由落下距離の最大値4mと伸びの最大値1.75mに、1mを足した高さ。4 + 1.75 + 1 = 6.75m。
例題で判定する
例題1。腰より上にフックを掛ける作業。ガイドラインの標準条件は、取付高さ0.85m、環の高さ1.45m、ランヤード1.7m。
自由落下距離 = 1.45 − 0.85 + 1.7 = 2.3m
第一種ショックアブソーバの伸び1.2m、ハーネスの伸び1m程度を足すと、落下距離は 2.3 + 1.2 + 1.0 = 4.5m(計算)。
例題2。鉄骨の上で足元にフックを掛ける作業。取付高さを0mとすると、自由落下距離 = 1.45 − 0 + 1.7 = 3.15m。
第一種は自由落下距離1.8m、第二種は4.0mで試験した区分。3.15mは第一種の1.8mを超える。ガイドラインも足元掛けにはフルハーネス型と第二種ショックアブソーバを選ぶとしている。
例題3。高さ7mの梁の上で、作業床を設けにくい。7 > 6.75 なのでフルハーネス型で、特別教育6時間の対象。
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特別教育の時間と省略
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| Ⅰ 作業に関する知識 | 1時間 |
| Ⅱ 墜落制止用器具に関する知識 | 2時間 |
| Ⅲ 労働災害の防止に関する知識 | 1時間 |
| Ⅳ 関係法令 | 0.5時間 |
| Ⅴ 実技 墜落制止用器具の使用方法等 | 1.5時間 |
リーフレットは省略できる場合を3つ挙げる。作業床を設けにくい箇所で胴ベルト型を使う作業に6月以上従事した人はⅠを省略でき、残りは 6 − 1 = 5時間(計算)。ロープ高所作業か足場の組立て等の特別教育を受けた人はⅢを省略でき、同じく5時間。
適用日の2019年2月1日の時点でフルハーネス型の作業に6月以上従事していた人は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅴを省略でき、残りは 1 + 0.5 = 1.5時間(計算)。条件を重ねたときの扱いはリーフレットにない。
点検と廃棄
ガイドラインは日常点検と、半年を超えない間隔の定期点検を求める。一度でも落下の衝撃がかかった器具は使わない。器具と取付設備の随時点検は安衛則521条の義務。
関連:特別教育と技能講習の違い、足場点検の義務と時期、熱中症対策の義務化の要点
出典
確認日はいずれも2026年11月2日。
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)
- 墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン(平成30年6月22日 基発0622第2号)
- 安全帯が「墜落制止用器具」に変わります(厚生労働省リーフレット)
- 安全衛生特別教育規程(厚生労働省 法令等データベース)